しんごー (よんごーあんぐる)
八頭身は自分の中でカッコ良さ、男らしさの象徴としてあって。そこですかね。
『ラブライブ!』で活動されている同人作家さんへインタビュー! 第4回目はサークル「よんごーあんぐる」のしんごーさんです。
八頭身の矢澤にこでお馴染みのしんごーさんに気になるあれやこれを聞きました!
八頭身の矢澤にこ
しんごーさんのトレードマークとも言うべき「八頭身の矢澤にこ」はどのようにして生まれたんですか?
元々、同人誌を描き始めたのが『まどか☆マギカ』で。キュゥべえをまず八頭身にしたんですよね。
それはなぜ。
振り返ったら落書きから生まれてて。落書きでキュゥべえを擬人化したのがあって、それが徐々に今描いてる矢澤みたいなちょっと筋肉質な体格のいい、八頭身になっていたという経緯ですね。影響としては昔のジャンプ黄金時代の『魁!!男塾』をよく読んでたので、その影響だと思うんですよね。『男塾』のあの絵柄が好きで、真似して描いて、キュゥべえにも影響が出て。それが受け継がれて『ラブライブ!』に投影されたという流れです。
他の誰でもなく矢澤だったわけですね。
矢澤です。最初は普通に描くつもりだったんですけど。作品中で矢澤だけ立ち位置がアニメの中のキャラというよりは、一歩リアルに出ているイメージがあったので。ちょっとした異物感があって合わせやすかったというのはあります。逆に言うと、矢澤を原作通り描けなかったんですよね。なぜか。なので八頭身にするなら矢澤しかいないとなっちゃいました(笑)。
しんごーさんといえば八頭身の矢澤にこですもんね。
トレードマークとして使っていますので、八頭身を(笑)。あと八頭身は自分の中でカッコ良さ、男らしさの象徴としてあって。そこですかね。頼れるし。世の中の不条理を全て包み込めるような……揺るがない……あっそう! 揺るがなさですね。原作でも1期の12話~13話にかけてかな。μ’sがバラバラになっちゃっても決してアイドルを諦めない姿とか。穂乃果に言うじゃないですか。「当たり前でしょ?スクールアイドル続けるんだから」「好きだから。にこはアイドルが大好きなの!」って。そのシーンのにこの男らしさというか、自分の信念を持っているのが僕の中では八頭身のイメージと重なったというか。
好きな作品
『男塾』の他に好きな漫画や、好きな作家さんはいますか?
『ドラゴンボール』は今でも読み返します。『キン肉マン』とか『HUNTER×HUNTER』とか好きです。作風や絵柄に影響しているのは『日常』や『ギャグマンガ日和』は強いですね。『ひだまりスケッチ』、『みつどもえ』の影響も受けていますね。
模写したりはしますか?
しますね。やっぱりこういうのを描きたいなと思うものは。可愛くもちょっとトゲがあるというかクセのある絵がやっぱり好きです。
それはさっきの『日常』とかも?
そうですね。『日常』はいい味出してますよね。
ちなみに『日常』で好きなキャラは誰ですか?
やっぱりみおですね。ツッコミ、ボケ、何やっても面白いし、感情を突っ走らせて一番表に出ているのが。あたふたしているのを見るのが面白いところもありますし。
アニメは見ますか?
絞って見ています。まとめサイトであらすじや自分好みの絵をチェックして1話を見てって感じで。最近のものだと『SHIROBAKO』ですね。
『SHIROBAKO』はどこが良かったですか?
熱いところですね。スポ根っぽいのがあって、最後はやっぱり泣けるのもあって。あと仕事の話なので、立場を置き換えると共感できるのもあって。また、僕の好きなものの共通点なんですが、登場キャラ一人一人に立場があって、信念や持っているものをちゃんと描いてくれる作品にジーンときます。悪者に見えても実は……視点を変えるとそうではなかったり。結構心打たれたアニメでした。おすすめですよ(笑)。
熱くて泣ける作品がお好きなんですね。他も熱くて泣ける作品はありますか?
(同じP.A.WORKSの作品だと)『花咲くいろは』も好きです。あとはA-1 Picturesの作品は大体好きですね。『WORKING!!』だったり『ソードアート・オンライン』だったり。人気の高い作品が好きってのはあります(笑)。昔で言うと『灰羽連盟』っていうアニメが好きで。確か中二ぐらいの時だったから中二病的に見ちゃって(笑)。こんなアニメがあるんだって感動しちゃいましたね。(からすまさんは)『けいおん!』は見てましたか?
好きですよ。
よかった。確か僕がアニメを観るようになったのが『けいおん!』で、それから深夜アニメにハマって。ハマった流れで言うと、同人と同じなんですけど『けいおん!』『まどマギ』『ラブライブ!』っていってですね。その主軸があった上で、あちこち他のアニメも観てるっていう。
同人活動は『けいおん!』からですか?
一応漫画をPixivに上げたりとか、その頃から始めました。『まどマギ』も描いてます。初同人イベントに出て、1年位やってかな、『ラブライブ!』にいきました。
『けいおん!』から『ラブライブ!』にきてる人って多い印象があります。
そうですね。けっこういると思います。周りにもいますし。やっぱり部活で友情あり日常感ありがいいですもんね。
ラブライブ!
『ラブライブ!』はいつごろハマったんですか?
アニメの1期が終わった頃だから2013年かなあ。アニメが終わった後にハマったんですよね。
リアルタイムでは観てなかったんですか?
リアルタイムでは見てなかったんですよ。終わった後にとある知人に勧められて観て。で3話の「START:DASH!!」でドハマりして全部観たんですよね。あの絶望感といい、そこからの復帰での「START:DASH!!」のダンスと歌でハマっちゃいましたねえ。あ、でもその前に2話で西木野さんが出てくるんですけど、なんか喋り方がおかしいぞと思って(笑)。それがフックになったのはありますね。それがだんだん可愛くなって。そこからハマって、矢澤を描きだして、ここまで来ましたね。
特に好きなエピソードはありますか?
そうだなあ。2期で言うと凛ちゃん回は何回も観ちゃいましたし、1期は4話「まきりんぱな」ですね。花陽が皆にメンバーに入れてくださいと頼むシーンは何度観ても泣くっていう。誰かが意を決して勇気を出すのが好きなんでしょうね。2期では、凛ちゃんも好きだし、あと3話でのA-RISE。A-RISEが出てきたのがいいですよね。あんじゅさんとかがちゃんとセリフを貰って喋っていたので。3人ともいいキャラですよね。
推しはいますか?
よく描くのは園田、凛、にこですけど、割とまんべんなく好きで。その時々描いてるキャラが一番好きになっちゃうので。「黒騎士マイダーリン」を描いていた時は絵里が好きだったし、今だとやっぱりことりと海未が。(「八頭身の矢澤にこisデフォルトなラブライブ!漫画2」で)描きおろし作品を描いたので、やっぱり可愛いなこいつらって思ったり。けっこうめまぐるしく変化しますね。
ところで声優にも興味あります?
ありますよ。ラジオとかも聴いてて。
中の人ではこの人推しなどありますか?
最初久保ユリカ氏にハマってしまい(笑)。『ラブライブ!』のSP特番かなんかで、シカちゃんが変顔をするシーンがあったんですよ。それ見て「何だこの人」って思ったのがきっかけでドハマりしちゃいましたね。
じゃあ胃痛ラジオとかも聴いてるんですか?
シカちゃんの胃痛のほうはちょっとタイミングが合わず切っちゃったんですけど。『にこりんぱな(ラブライブ! μ’s広報部 ~にこりんぱな~)』が面白いですよね。ラジオで聴いてると好感度が上がっちゃいますよね。『のぞえりラジオ』も聴いてたから。くっすんも可愛く思えてきて。おとぼけな感じが。
『ラブライブ!The School Idol Movie』に関してはいかがですか?
買いました。まだ一周しか観てないんですけど。そういえば映画の感想で微妙だったと言う人もいますけど、僕はそんなことなかったです。大絶賛ですよ。普通におもしろいじゃん。いい話だし。
曲もよかったですよね。
いいですよね。「SUNNY DAY SONG」明るい曲だし。「僕たちはひとつの光」は感動しすぎてダメですね。泣いちゃいます。僕には「SUNNY DAY SONG」くらいでちょうどいいんですよ(笑)。とにかく明るい曲で。
ところで『ラブライブ!』で好きな曲とかありますか?
もちろん全部好きで、嫌いなのはないかな。海未の「私たちは未来の花」が、ガンダム系じゃないかな、グレンラガンさがあって。元気もらえる。最初聴いた時に『刀語』とかの曲かと思っちゃって。
ロボットアニメのオープニングっぽいですよね。
初めて買ったシングルが「Music S.T.A.R.T!!」で、すごい好きです。あれは曲もいいしPVもいいし。当時西木野推しだった時期があったんで「あの娘がセンターになった」って感動しました。嫌いではないんですけど絵里の「ありふれた悲しみの果て」みたいなのはヘビーローテションはしないですね。ちょっとしんみりしちゃう。
そういう意味で言うと「なわとび」とかも。
「なわとび」もしんみりしちゃう。いい曲なんですけどね。あと盛り上がる感じの曲か。BiBiの「Cutie Panther」とか「輝夜の城で踊りたい」辺りの、明るくわっしょいわっしょいみたいな感じが好き。漫画を描きながら聴くのでその時のテンションに合わせた曲ですかね。盛り上がるというか、笑える感じの曲というか(笑)。
笑える感じというと、セリフがあるほうかいいですか?
セリフはあるほうがいいですね。合いの手があるとそれ自体がギャグっぽく聴こえちゃって笑えてきます。
名前の由来は…
ペンネームの由来はなんですか?
本名ですね。あだ名からで。「ー」を取ったら本名です(笑)。面白味もなんもない。
サークル名は?
ペンネームがしんごーなので単純に45という数字の割り振りが出て。「45かあ。ななめ45°という芸人がいたなあ。斜め45°が一番ボール飛ばす時に飛ぶんだよなあ。そんなのがいいなあ」と思って。「45°」「よんごーあんぐる」というひらがなの名称になりました。
ひらがな、ステキですね。
ああ、あと、サークル名とペンネームがひも付くというか、憶えやすくなるようにと思って付けました。「よんごー、しんごー、よんごーあんぐる」って。
わかりやすいですよね。
カタログが基本サークル名で載ってるじゃないですか。それで目当ての作家さんがどこなのかわからないことがあったので。それがあってペンネームとサークル名をひも付かせて憶えやすくするっていう、そういう思いがあって「よんごーあんぐる」になりました。憶えてくれているかどうかはわからないんですけれど。
絵について
絵を描く時に気をつけていたりすることはありますか?
表情を記号化しないことと、変に演技させすぎないことです。絵じゃなくて作風というか漫画を描くうえで気をつけてることなんですけど、作り物にしない。ここで生きてるこいつらがやってるのをカメラに撮ってそのまま見せるっていうのが一番よくて。でも僕がそれを絵にしなくちゃいけないから。変に演出とかをつけすぎて、素の状態を歪んだ形で伝えないようにはしてる……ですね。
カメラを構えてる感じ。
そうですそうです。それをカメラじゃなくて絵にしなくちゃいけない。わざとらしい表情にしちゃうと本来の良さを失っちゃうので。ただ自分は伝えるための道具なんだぞっていうのに気をつけて描いてるってのはありますね。
大事ですよね。自分も同じ考えなので。まさに仰るとおりだなと思います。
よかった(笑)。変に押し付けないようにしているというか。自分自身にも読者にも自分のを押し付けないようには気をつけてますねえ。あと絵に関してはやっぱり基本は可愛くで。
話は変わってしまいますが「直角園田」はなんで直角なんですか?
それは……園田が言っている通りですよね(笑)。「寝違えて、なっちゃったから」。僕はそれを写しとってるだけで!
失礼しました(笑)。直角だったんですね、園田が。
いえいえ(笑)。これだと僕がオカシイ人みたいですね。まあ思いつきとしては園田が直角になったら面白いだろうなっていうのがあって。実際頭の中で直角にしてみたら、そういう話が(彼女たちの世界で)起こっていたという感じですかね。
なんとなく言っている意味はわかるんですが「直角にしたら面白いだろうな」って時点ですごく面白いですね。
何かしらきっかけはあったんでしょうね。分度器を見たとか。なんかあったはずなんですよ。キーワードから思いついたり。何かしら違和感を覚えて、それをもとに誰かしらで想像して。「角度が……角度がなんか……園田が……事件があった」みたいに思いつくって感じかな。(説明するの)難しいな(笑)。
訊いといてなんですけど、答えにくいですよね。
ケースバイケースで。自分からなにかおもしろいものを描きたいというのはもちろんあるんですけど、あんまり思いつかないですね。逆にそういうやり方だと。絵のイメージが頭に浮かんで、そこから前後のストーリーが見えてきて、かな~。例えば、今回の「八頭身の矢澤にこisデフォルトなラブライブ!漫画2」のほうだと(各話の)タイトルを「~の話」とか「~の後話」ってつけたんですけど。この前に出来事があってその延長線上の1ページを描いているって形式は今回意識していて。こいつらの生活があるんですね。ずっと。で、面白い部分があるぞっていうのを捕まえて、こう、写しとったっていう創り方でやってます。本筋を描くというよりかはサイドストーリー的な。原作を歪めないようにしたいなとは思っているので。こんな作品を描いといて言うのもなんですけど(笑)。勝手な解釈というかこじつけというか、個人的な世界観を押し付けるようなものはあんまり描きたくないなとか思ってたりはします。何を言っても説得力がないような気もしますけど(笑)。あっ、ちなみに他のかたが描いた個人の世界観丸出しの漫画を読むのは大好きです。
もはやしんごーさんのキャラが動いている感じに見えますが。
まあまあ、そうですけどね(笑)。頭のなかにはあるんですよね。それが原作と全然違うじゃねえかと言われれば終わりなんですけど(笑)。
そういう感じで描いているわけではないってことですね。
原作設定はそのまま使っているつもり(笑)。間違っていたら僕の調査不足なんで。
描くのはデジタルですか?アナログですか?
全部デジタルです。CLIP STUDIOで描いています。最後にセリフを入れる関係上、フキダシの位置も変えたりするので全部絵を描いてからですね。落書きはもちろんアナログでやってますけど、デジタルで仕上げまで。楽ですよ。
カラーもお上手で。
いやー、ベタ塗りですよ。昔からあまり塗り方が変わってないし、アニメ塗りというか、塗りやすいやり方ですね。
ところで、昔から漫画を描かれていたんですか?
漫画はあんまり描いてなかったかな。絵は……キャラクターの絵は小学校の頃友達とよく描いてて。中学2年生あたりで初めて漫画を描いて。棒人間的なやつですけど。セリフとか入れて。それを友達が見て笑ってくれたんで。そこから描き出しました。でも高校の間は描いていなくて、大学3年生の就活の前後ぐらいからpixivに投稿しだして。「あーやっぱ漫画描くのおもしれえな」って今に至る感じです。本格的にやりだしたのは大学3年ぐらい。漫画はいいですよね。自己表現ですよね。普段出せないものを出せる感じがいいです。
大学時代に漫研などには入ってなかったんですか?
入ってないですね。ゲーム制作サークルみたいなのには一時期入ってましたが。そこで絵だけちょっと描いて、でも特に活動はせず。個人で漫画描いてるほうが面白くて。当時『けいおん!』がやった時期と被ってて、『けいおん!』が面白かったから絵も描くようになったっていう。それきっかけで現在『ラブライブ!』まで描いている感じで。
同人活動について
『けいおん!』で本は出したんですか?
いやpixivだけですね。もう消しましたけどね(笑)。
もったいない。『まどマギ』では本を出されていますか?
何冊か出しています。4冊5冊は出したかな。もう絶版ですね。駿河屋に売ってるかもしれないですけど(笑)。でも基本は変わらず、登場人物が『ラブライブ!』のが多くなってるくらいで『まどマギ』は5人とかで。基本ギャグで、わりと日常感のある。やっていることはあんまり変わらないですね。
『ラブライブ!』でもたくさん作品を描かれていますが、特にお気に入りの作品はありますか?
「ロックリンホシゾラ」は一度締切に間に合わず、体験版を出してから完成版を出したので一番思い入れは強いですね。ただ一番面白いと思ったのが「ンミチェアー」ですね。落書きしたらウケたので、続きを描きましたという感じなんですけど(笑)。なかなか自分でも気に入ってて。
イラストで一発ネタみたいなのは少くないですけど、漫画にまで出来るのはスゴイですね。
よくみんなが受け入れてくれたなぁと思いましたよこれは(笑)。パッと見、ゲテモノ感があるので引かれるかなあと思いつつ。
ところで、ネタはどのような時に出ますか?
だいたい散歩中とか風呂入ってる時が。風呂の中でぼーっと「あったけえな」ってやってるとモヤモヤっと浮かんできます。あと、こちょりのネタは、カフェで赤ちゃんを連れたお母さんが話してることをそのまま使ったり。なのでパッと思いつくタイプと、ノンフィクションに近いタイプとがあります。
そういえば穂乃果メインでは作品を描かれていないように見えますけど。
うーん、穂乃果は、自分ではうまく扱えないというと変ですけど、穂乃果があまり出てこないんですよね、頭の中に。なのであまり描く機会がない感じですかね。(作品を眺めながら)色々描いたなあ。もっと面白い彼女たちの生活がいっぱいあるから、『ラブライブ!』は描いていきたいですね。まだ矢澤がメインの漫画をちゃんと描いていないし。もしいつか『ラブライブ!』を描かなくなる日が来るのだとしたらちゃんと矢澤を描き切ってからやめたいですね。
「八頭身の矢澤」ですよね。
八頭身の(笑)。そうじゃないのは……もしかしたら描くかもしれないです(笑)。
最後に
最後に、読者へメッセージなどあればどうぞ。
八頭身の矢澤にこにお付き合いいただきありがとうございます。これからも八頭身の矢澤にこをよろしくお願いします。
しんごーさん、ありがとうございました!