ひろにぃ (パワーボン堂)
どんな物語でも納得するっていうのが大事だと思うんですよ
『ラブライブ!』で活動されている同人作家さんへインタビュー! 第2回目はサークル「パワーボン堂」のひろにぃさんです。
可愛らしいキャラクターが印象的なひろにぃさんに、気になるあれやこれを聞きました!
プロローグ
まずはペンネームの由来からお聞きしたいのですが。
ペンネームは本名をもじったものですね。リアルでも友人にそう呼ばれてるのをそのまま使った感じで。
リアルでも、というと、いつごろから呼ばれているんですか?
中高生のころはカッコいい呼び名に憧れるものじゃないですか。それが落ち着いた高校半ば頃くらいかな。気がついたら皆から「ひろにぃさん」と呼ばれて兄のように慕われるようになっていましたね。
それは、ひろにぃさんの風貌からも容易に想像がつきます(笑)。
最近はそんな自分のポジションも上がっていて。「お父さん」みたいな感じがすると言われ始めていて正直困るというか。まだそんな年じゃないし。
次はサークル名について聞いていきたいのですが。
実はつい先日まで、というより2015年の中頃まで別のサークル名だったんですよ。
「キノコ組」ですね。
もともとキノコ組は東方で活動してる際に友達と作ったサークルなんですよ。絵チャでたまたま知りあった4人で立ち上げたサークルで、「みんなで同人誌でも出せたらいいね」って冗談で言ってるつもりだったのに、次に会った時に「じゃ、いついつのイベント申し込んだからいつまでに原稿仕上げて」って言われて。その時出来たのが「キノコ組」です。
現在の「パワーボン堂」というのは。
「パワーボン堂」ってのは自分の大好きなカードゲーム『遊戯王』の切り札のカードに「パワー・ボンド」っていうカードがあるんです。それをもじって。東方から『ラブライブ!』に移ってきたというのもあり気持ちを一新、サークル名を変えました。それと実を言うと、エゴサしやすいかなってのもあって(笑)。「ひろにぃ」さんって方もたくさんいらっしゃるし「キノコ組」もたくさんあったんですよ。検索したらそっちばっか引っかかったので、思い切って。パワーボン堂のひろにぃなら俺しかいないだろうと思って。
エゴサーチし易いってのは重要ですよね。
大事だと思います。自分のモチベーションの為に。
エゴサなさいます?
しょっちゅうしますよ。特にイベントの後はいろんな人が、なにかしら感想を言ってくれたら嬉しいなと思って。やっぱり言ってくれてる人にはリツイートとファボしたいですし。「これはどういうことなの」って疑問があったら答えたいし。あと今回初めてとらのあなさんに委託させてもらったんですよ。「とらのあなにひろにぃの本あったよ」って言ってくれる人があれば、すごく嬉しいですもんね。次の自分の創作の活力に繋げるために。エゴサはわりとしてますね。
好きなもの
では趣味についてお聞きしたいのですが。
カードゲームが好きなので『遊戯王』とか『ヴァンガード』とかぼちぼちやってます。メインは『遊戯王』かな。がっつりやってる訳じゃなくて、最近復帰して。同人仲間数人で、イベント集まったらやろうぜぐらいの。「こんなデッキ組んでみたよ」みたいな感じで。『遊戯王』のカードゲームというよりは『遊戯王』アニメ作品が好きなので。そっち。あとやっぱり絵を描くことですね。昔は本とか読んでましたけど、絵を描き始めたら全然読まなくなっちゃって。読む時間が会ったら絵を描きたいすよ。学生の時は電車で移動が多かったから、本もいっぱい読めたんですけど、仕事始めると車メインの移動になるじゃないですか。読めないんですよね全然(笑)。なので家に居る時は絵を描いてるし、移動中は車だし。読書しなくなっちゃいましたね。
漫画は読まれます?
前ほどは読んでないですけど、やっぱり好きな漫画は読んでます。ただ(連載を)追うのが大変になったので、終わったらまとめて読むっていうのが多いですね。一番好きな漫画は『シャーマンキング』です。人生のバイブルと言っても過言ではない一冊。
自分は『シャーマンキング』のことをよくわかっていないんですが、未完なんですか?
連載が尻すぼみで終わった後に、一応完全版でその後のエピソードも追加されて。多分普通に見たら「なんだそれ」って終わり方なんです。けど、武井先生の世界観が好きで、武井先生が好きなら納得。「だろうね」っていう終わり方なので。だからもう『シャーマンキング』が好きっていうより武井先生のファンになってしまってる。出会いがその前の『仏ゾーン』だったので。
『仏ゾーン』ですか。
中学、高校とジャンプを読んでいて『仏ゾーン』『シャーマンキング』と出会って。それからずっと好きですね。その頃は『シャーマンキング』のキャラばかり描いてました。
今のひろにぃさんからは想像つかないですね。
よく言われます。今でも道蓮なら何も見ずに描けます。
それは今の絵柄ではなく、ですよね。
そうですね。頭身高めですね。僕は頭身高い絵も好きなんですよ。といっても5頭身位ですけど。今の2頭身の絵柄は楽でいいんですよ。
楽なんですね。
楽だし、可愛いし。普段2頭身で、時々頭身が高いシーンを描くと「ムムっ!」「あっすごい!」みたいになるじゃないですか(笑)。
確かに新鮮だなって思います。
そうそう。だからそこを狙ってるんです。逆ギャップというか。
絵柄についてですが、何か影響を受けたりした作品や意識していることなどありますか?
『シャーマンキング』は好きだったんですけど。色々な4コマ系の雑誌も見てたら柔らかくて……。あの、僕柔らかいの好きなんですよ。自分の描いてる絵って、みんなモチモチしてコロコロして可愛くて、お膝の上に乗せたいんですよね。なので今の絵柄については、何かに影響されたというより、自分の好きなモノを描いてる感じです。自分が可愛いと思って、かつ人に可愛いと思ってもらえる。可愛いは正義なんですよ。
どこか聞いたようなセリフですね。
同人活動
自分はひろにぃさんのことを『ラブライブ!』の同人で知ったのですが、それ以前の活動についてお聞かせ願えますか?
はじめは東方プロジェクトで合同サークルでずっと描いてて、そのサークルがみんな別々の道へ進むことになって。「サークル名だけ使わせてもらうね」って1人でずっと活動してて。『ラブライブ!』に行く前に一回だけ『モバマス』を描いたかな。好きなアイドルがいて、いつかのコミケに行った際にその娘の本が1冊もなくて。ふざけるなよと(笑)。
(笑)。
誰も描かないのなら、俺が描く!って描いたんだけど、結局身内受けする本になってしまったんです。その時冬コミに受からなくて、知り合いのサークルに売り子で入って売らせてもらって。50部しか刷らなかったんですけど全部捌けたので、ある意味手応えを感じました。全くジャンルの違う、エロ同人誌が置いてある横で、それだけ売れたんだから十分な戦果じゃないかって(笑)。ただ、今改めて描きたいですね。
『モバマス』もその当時より盛り上がってるんじゃないですか?
アニメ化して、なんと俺の好きなアイドルがですね、2回喋ったんですよ。アニメの中で2回!
誰ですか?
中野有香ちゃんっていう娘なんですけど。「押忍!」とか、ひとことふたこと喋ったんですよ! 動いたんですよ! 今度CDも出るらしくて、もう嬉しくて。今回の冬コミは中野有香合同誌も普通にあったし。逆にだからこそ今から勉強し直して『モバマス』を描いてもいいかなあと思いましたね。
ラブライブ!
ラブライブについてお聴きしますが…
『スクフェス』もやってるんですけど、希のイベントの時だけ走るっていう。
希推しなんですね。
そうです。希推しです。本だけ読んでると誰推しかわからないみたいなんですけど。
矢澤推しなのかと思いました。
あっ、よく言われます(笑)。矢澤はね、いい友達ですね。一番動かしやすいってのがありますね。
いい友達(笑)。ところで希のどこらへんが好きなんですか?
なんだろうな。僕は『ラブライブ!』に『スクフェス』から入ったんですよ。きっかけは、カラオケで友達が『ラブライブ!』の曲を入れて「いいよ~」って。そこで知って『ラブライブ!』ってどんなものぞって思って。ゲームがあるので落としてみよって『スクフェス』をやり始めて。初め9人の中から好きな娘を選択する場面で、悩んだ結果希を選ぶっていう。「あっすごい可愛いじゃん」「こんな声なんだ。思ったより声が高い。ビックリ」みたいな。
では見た目で選んだんで すか?
う-ん、見た目というよりなんとなくですね。この娘かなと思って選んで。ちょっと好きになってきて。初めて引いたSRも希だったので、これは運命だなと。それに『ラブライブ!』は曲もいいじゃないですか。アニメも観てみようとかなと。1期をひと晩で見終わって。
ちなみにそれはいつごろですか?
えーと『ラブライブ!』2期がリアルタイム放送していた頃だったので多分2014年の6月頃だったんじゃないかな。知り合いにファーストコンサートに行った人がいて、CDとかライブBDとか借りて。一気にハマりましたね。一回ね、凛ちゃんにいきそうになったんです。凛ちゃんが初め、うるさかったんですよ。
うるさかったといいますと。
なんだこのニャーニャー言う奴は、気にくわねぇと思ってたんですが、次第に「凛ちゃん頑張っとるやん」「めっちゃマラカス振ってんじゃん」「ええやん、可愛いし頑張ってるやん」。
凛ちゃん推しじゃないですか。
けど、希が加入するのと1期10話の「先輩禁止」あたりで「女神がここにおったな」と(笑)。やっぱり希が好きでした。希とは一緒に学校から帰りたい、一緒にコンビニで買い食いとかしたい、そんな感じで好きです。
それは友達みたいな感覚ですか?
仲良くなりたい、で幸せになって欲しいなあっていう。でも希を幸せにできるのは俺じゃないな、エリチだよなって。あわよくば俺は絢瀬絵里になりたかったよ、とよくわからない感情を持ってましたね。1期を観てる時は。
なんか珍しい感覚のように思いますけども。
そう、俺は絢瀬絵里になりたかった。例えば子供達がウルトラマンや仮面ライダーに憧れるように、俺は絢瀬絵里になりたかった。希の隣にいられるというあのポジションのため。
……。
『ラブライブ!』の楽曲で好きなものは何ですか?
「LONLIEST BABY」ですね。多分一番じゃないかな。
あら、「LONLIEST BABY」ですか。
もう全体的に僕の中でズルいんですよ。まずイントロでグッと掴まれて。独特のテクノ調というか、ディスコ調というか、きらびやかな中歌ってる感じ。あとみんながほんのちょっと隣のお姉さん的な、不思議な歌い方をするわけですよ(笑)。それと最後のサビのエリチが面白いなっていう。「大好き大好き(だ!いすき だ!いすき)」って。「LONLIEST BABY」が一番好きですね。あと、基本的にlily whiteの曲が好きです。でも決められないすけどね。Printempsもいいし、μ’sの楽曲もいいし。
いいですよね。リリホワ。僕も好きです。
「ふたりハピネス」がほんと好きで。聴いてたら泣きそうになるんですよ。5thライブをライブビューイングで観ていて「ふたりハピネス」で「幸せという単語が出たら手でハートを描いてください」って。あれをした時に「あれ、これ俺どこかで……スクールアイドルパラダイスでやったことある」って。スクパラ勢は許された、そんな気持ちになりましたね(笑)。
A-RISEも好きですけどね。6thライブに出て欲しいです。A-RISEが出てきて、歌ってからの全員で「SUNNY DAY SONG」とかだったら最高です。モブと化したA-RISEを再現して欲しいですね。大好きなんすよね、英玲奈さん。
英玲奈さんが好きなんですね。確かによく漫画に描かれてますね。
A-RISEはあまり語られてないから、想像になりますけど、ツバサさんは割とチームを引っ張っている感じだと思うんですよ。アイドルとして2人を引っ張っていく。で2人はそんなツバサさんを支えつつ、引っ張られていく。英玲奈さんは割と天然だと思うんですよね。勝手なイメージですけど、自分の中で英玲奈さん像ができてしまってて(笑)。オリジナルじゃないじゃんと言われてしまうけど、俺は自分の中のA-RISE像がすごく好きで。ちょっと天然というか暴走気味で引っ張るツバサさん。天然で一緒にワチャワチャしちゃう英玲奈さん。苦労人のあんじゅという。「お互い大変ね~」のあんじゅさんすごい好きなんですよ。たぶん大変なんだろうなって。
英玲奈さんをとても可愛く描いていますよね。
1冊目の「ラブいライブの本1」の時はそうでもなくて、ウォーズマンですね。あの時は別にそんなに好きじゃなかったんですよ。なんか知らないけど、ちょっとずつ好きになっていって、気づいたら俺の中で英玲奈さんが大きくなっていて。その思いが劇場版を観て爆発してしまって。
いいシーンでしたよね。「これ、お土産だ」のシーンとか。
「お土産だ」もそうですけど「全国から集まった言葉だ」「みんなの想いがこもっている。やるぞ」もよくて。あと、車の中でツバサさんを2人で両方から支える「でもね、やっぱりなくなるのは淋しいのじゃない?」ってシーン。あれは実はあんじゅさんの足がエロいってシーンなんです。「だったら続けたらぁ?」ってなんでクネクネしてるんだろうこの人って(笑)。それから、最後の写真撮影の時の英玲奈さんの笑顔が最高なんで見てあげてください。英玲奈さんの笑顔すごく好きなんです。
英玲奈さんはなんか謎なイメージがありました。
自分の中だと、A-RISEを始める前も英玲奈さんは謎な人だったんじゃないかなって。すごいクール系でカッコいいんだけど、ちょっととっつきにくい。あんじゅさんも何でもこなせるんだけど、なんか心を開いてなくて踏み込めない所をツバサさんが「アイドルやりましょう」と引っ張っていったんじゃないかなって勝手に思ってて。それから少しずつ「英玲奈さんってあんな顔で笑う人だったんだ」「すごい、素敵」「あんじゅさんって思ってたより全然優しくていい人」みたいな。そうしたことを経てあのA-RISEになったのかなと勝手に思っているんですけどね。
是非それらをひろにぃさんの漫画で読んでみたいです。
でも俺いい話を描けないんです。ふざけないと気が済まないんですよ(笑)。あと俺はシリアスなものが描けなくて。下げるシーンを極力描きたくないんですよ。みんながワチャワチャ幸せな絵を描きたいんです。シリアスが必要なシーンでも、例えば一回「ショボーン」って悲しいことがあって、次でみんなで「ワー」ってすごい盛り上がるシーンだったとしても描けないんですよ。こればっかりは自分のワガママなんですけど、彼女達には笑っていて欲しいなっていう。創作する側としては致命的なところがあるんでしょう。
シリアスなストーリーは考えついても描けないわけですね。
描いてはみたいんですけど。どっかでリミッターがかかっちゃって。「これ以上は考えないほうがいいんじゃない?」って自分の頭の中で。
なるほど。ひろにぃさんのそういう作品も読んでみたいので、少し残念です。
アニメなどは観ていますか?
うちは全然アニメが映らなかったんですよ。水曜日の『ドラゴンボール』とか土曜日の『地獄先生ぬ~べ~』や『セーラームーン』とか放送してたんです。僕ね、水泳をやっていたんですよ。ずっと中学校まで。毎日練習に行って、選手コースに行って。おかげでアニメって休んだ時だけ観れるぐらいで、全然観てなかったんですよ。でも元々本とか読むのも好きだったからアニメ自体は好きで。それである日、実家にケーブルテレビが導入されて、一日中アニメやってるじゃないですか。いやー、観ましたよね。どっぷりと。
何がお好きでしたか?
あの頃は……キッズステーションが一時期狂ったように『らんま1/2』をやってたんですよ。自分が声優だったりオタク的なものに深く踏み込んだのは『らんま1/2』のせいだと思ってるんですけど。テレビ点けたらやってるから観てて。今から考えると『らんま1/2』は声優さんが豪華で、山口勝平さん、林原めぐみさん、日高のり子さん、高山みなみさん、井上喜久子さん、山寺宏一さんと、関俊彦さんも出ていたし。それで転びましたよね、こっちの世界に(笑)。でもその頃は普通の、ジャンプやサンデーのアニメを観ているぐらいだったんですけど。深夜アニメも、観たらハマってしまうもので。
深夜アニメでは何を。
『PROJECT ARMS』ってアニメが深夜にやってたんですよ。それに気づいた中学生ぐらいの俺は「漫画も集めてるしアニメがやってるなら観たい!」と。親が寝た後にこっそり観ようと思って起きてて。夜中起きてTVを点ける訳じゃないですか。『PROJECT ARMS』の前に『まほろまてぃっく』っていうのがやっていたんですね。『PROJECT ARMS』が始まるまでとりあえず観るじゃないですか(笑)。ハマる訳ですよね。何かスケベな感じで。でも話の大筋は切なくて。『まほろまてぃっく』で深夜アニメの、こういう世界があるのかと知りました。そっからはその時放送してるやつを色々観てましたね。
何かおすすめの作品はありますか?
深夜アニメで未だに僕が好きなのは『フタコイ オルタナティブ』です。主人公は探偵兼何でも屋みたいなことをやってて、そこに双子が1組転がり込んでって話なんですけど。色々あって切ないし面白いし。「次どうなってしまうんだこいつら」「どうなるんだこのお話は」って1週間待つのが辛いくらい楽しみな感じですかね。是非機会があったら観ていただきたい。
他におすすめなどあれば。
もう1本オススメしたいのが『D.C.ⅡS.S.~ダ・カーポⅡ セカンドシーズン~』。『D.C. ~ダ・カーポ~』シリーズはたくさんあるんですけど、その中で『D.C.ⅡS.S.~ダ・カーポⅡ セカンドシーズン~』です。これは観ていて本当に辛いんです。『D.C.Ⅱ』は主人公が女の子と付き合いはじめて最終的にはうまくいかずに別れてしまうって話なんです。そのフラれる女の子は南條愛乃さんなんですけど。『D.C.ⅡS.S.~ダ・カーポⅡ セカンドシーズン~』はその後の話で、いつもよくしてくれるお姉ちゃんと妹がいて、その姉妹との関係がメインのストーリーで、魔法の力とかいろんなものが重なってきてすごく切ない話になっていく。言ってしまうとネタバレになってしまうので、言いませんが、1クールで短いので是非観ていただきたい。深夜アニメでオススメというとどうしてもその2つの作品を推しちゃいますね。
感動系ですね。
自分は話に引き込まれるというかストーリーが好きなんでしょうね。
ギャグとかではなくて。
いやギャグももちろん好きですけど、僕の中には2つ作品ってあるんですよ。1つは何かをしながら横に流してもいい作品と、もう1つはその作品を観る時は、観ることに集中するしかない作品。2つ目の作品は一本のストーリーとしてまとめて観たいから、溜めて観たり。例えば前期のアニメで言えば『ごちうさ2期』はただ、とりあえず横で流しといていい作品。とりあえず楽しい雰囲気観ながら「あ~可愛いな」って。『ゆるゆり』も「可愛いな~」って観ながら原稿のお供とかには最適。でガッツリ観る作品は原稿とかせずに、その作品に集中するっていう。もちろん好きですよ?『ゆるゆり』『ごちうさ』『ゆゆ式』『きんモザ』なども。ひと通り観ましたからね(笑)。可愛いし、そういう表現面白い、って勉強になります。
サイン?
「ひろにぃ」というサインが本の奥付に入っていますが、顔になっていていいですね。
いいでしょ? これね、中の顔はその時の気分で、好きな顔を描いていいんですよ。その「ひ」「ろ」「に」「ぃ」ってパーツで輪郭を作って。基本はあるんですけど、たまに「ちゅーん」って顔描いたりできるし。この「ろ」をぐるってまわすアイデアはよく出たなって思ってます。
ではサインを求められた際には。
これをぴゅぴゅぴゅっとね、便利です。サインなんてカッコつけたのいらないだろうと思ってたんですけど。イベント参加してて思ったのが、色紙とかスケブに描くときってサインまで描くとカッコいいじゃないですか。なんかすげぇって特別感を出していきたいなと思ってます。
同人誌づくり
ところで漫画を描くときはデジタルですか?
元々アナログで描くのが好きですが、デジタルで描いています。5・7年前かな。ペンタブを貰ってお絵描きツールで描き始めて。pixiv絵チャでいろんな人と出会い、お絵かきソフトを買ったり、今に至る感じですね。
今使っているソフトは?
クリスタとコミスタですね。元々は絵をSAIで描いて、漫画をはコミスタで描いてて。PCが一回壊れた際にSAIの番号を紛失して、抽出することもできなくて。じゃあこれを機にって(クリスタを使いはじめました)。クリスタはCMYKを出力できたので。同人誌を描く際に表紙ってCMYKで入稿しなきゃいけないんですよ。こちらがRGBで描いても印刷所がCMYKにするから色が変わってしまうんです。それなら元々できるクリスタのほうがいいかなって。なので、今は表紙、イラストはクリスタを使って、漫画のほうはコミスタで描いてます。クリスタで漫画も描けるんですけど、僕的に漫画だけに特化するならコミスタの方が使いやすいですね。
ネタはどんな時に思いついたりしますか?
2種類あるんですよね。普段描いてるやつはなんとなくフワッと思いついたやつを、一番面白いと思ってるシーンから4コマに落としこむ。だから先にオチなんですよね。オチに持っていくために、起承転はどうしたらいいかなって作り方が多いです。長い漫画を描く際には、今回はどういう漫画にしようかなって。頭のなかに幾つもストックしている話はあるんですけど、だいたいそれは使わないで新しいのを描きたがるんです。
どんな物語でも納得するっていうのが大事だと思うんですよ。
納得といいますと?
突然始まって突然終わるっていうのもある意味、同人誌の醍醐味かもしれないんですけど、俺的には読むからには納得したいんですよ。然るべき経緯があって登場人物たちは今こうしている、というか。だからシュール系とかカオス系はあまり肌に合わない。だってなんかアレ、ズルイじゃんっていう(笑)。面白いかもしれないけど、俺は納得出来ないなってところはあって。
「このキャラさすがにこんなこと無理じゃない?」みたいな。できるだけ原作へのリスペクトを忘れずに。納得できるストーリーを描きたいし、違和感を感じて欲しくない。だから非常に難しいラインですよ。正直キャラクターを崩したい時もあるんですよ。もっと直球にキャラを崩して、口調も変えてバシバシ突っ込ませたりもしたいこともあるんですけど、それはそのキャラじゃなくなってしまうんじゃないかって思いが自分の中にあります。そのキャラはそのキャラでいるからこそ、美しいというか、いいと思うんですよ。だからこその二次創作だと思ってます。
だから今回の本でも、西木野さんと英玲奈さんが一緒にクリスマスを過ごすって納得いく舞台設定をつくらなきゃいけない。そうなると周りの協力も必要だし、ってんでこうこうこう。読んで納得してもらえる、ひとつの物語を作りたいんです。
じゃああんまり原作からかけ離れた物語を描かないということですね。
そうです。それが俺の中では原作への愛だと思うんで。原作あってこその二次創作ってのは大事にしたいと思ってます。だから、セリフ回しとかけっこう考えます。例えば凛ちゃんはこんなに「にゃ」をつけなくてもいいんじゃないかとか。凛ちゃんはどういう時に「にゃ」をつけてどういう時に普通に喋る?とか。希の喋り口調とかもすごい考えます。
希の関西弁も、怪しいですもんね。
あれは希弁ですから。あとやっぱりキャラを可愛く柔らかく。それでいてキャラクター達が辛い目に遭わないように、っていうところは気をつけてます。
話は変わりますが、表紙がコマになってるのも面白いですね。
これねぇ……ヤラしい話をしますよ。表紙ってのはイベントとかだと通路を歩いてて初めにパッと見てもらえるものじゃないですか。表紙ってすごく豪華だったりすごくオシャレなほうがウケるんですよ。取り敢えず「何かな」と思って手にとってもらえる。
で、自分の絵柄でオシャレな絵って思いつかないし、表紙の1枚キャラクターをカッコいいのデカデカバーンとか描くのも俺には向いてない。じゃあ俺は全員描くかと。これだけのキャラが出てワチャワチャしてる楽しい本だよって、表紙からも伝わるようにしたいなと思って。小さいキャラクターでこうすると、全身を描かなくていいんで楽なんですね(笑)。
だから今回の「μ’sの楽しいクリスマスの本」の表紙も、ツバサさんと穂乃果ちゃんだけ全身で、あとはコマの中にいるから全身描いてないんです。この表紙、手間が掛かっているように見えるでしょ。全然そんなことないです(笑)。
自分はこの手法が合うし、何より自分の絵柄に一番合ってるかなと思って。見てくれる方からも好評ですし。表紙はこの技法をやっていきたいな。
「SUPER LOVE SONG!」の裏表紙は表紙の枠線を外してモノクロにしているのがステキですね。
ナウいでしょ(笑)。この「SUPER LOVE SONG!」はコマの下に描いてあるキャラが全部つながっててという演出なんです。ある意味これは意欲作だったんですけど、手抜きとも言えます(笑)。コマ枠を外して、上に自分のサークル名を入れて、彩度を落としただけです。
よく表紙をめくって3ページ目に表紙絵のモノクロを挟む手法を見かけることはありますけど、裏表紙とは珍しい気もします。
けど、いいでしょ? 裏表紙感があって。一番裏表紙感があるのは今回の「μ’sの楽しいクリスマスの本」で『トムとジェリー』が始まる時みたいなヤツですよ。ライオンがガオーッてなるじゃないですか。あっ、それと「矢澤VS」はあわよくば同じような顔でやっていこうと。
「矢澤VS」の続編を描かれるんですか?
時々描きたくなるんです。矢澤がなにかと戦うのは必要だと思うんですよ。世界が矢澤の戦いを求めている気がして。実は「矢澤VS」は、矢澤の顔を箔押しにしたかったんですよ。ただ、ちょっと高かったんです(笑)。
これからシリーズ描くとしたらたぶん「矢澤VS 2」「矢澤VS 2 SUPER」 。「ULTRA矢澤VS」みたいなことが出来たらなと(笑)。実を言えば、本当はもっと出すキャラを絞りたいんですよ。だから、リリホワだけでええやんって「リリホワのほん」を出したんです。けど描き終わってみれば、結局全員出てんだよなっていう。
「矢澤VS」もほぼ全員出てくるんですよ。みんなでワチャワチャ、そういうのが好きなんだなって。
最後に
いろいろな話を伺ってきましたが、最後に読者へ向けてメッセージがあれば。
俺は他の人みたいに、器用にキャラクターをおもしろくしたりとか、カオス系は描けないけど、俺は俺にしか描けないものを描いこうと思うから、それが面白いと思ってくれたらまた見て欲しいなっていう感じですかね。
ひろにぃさん、ありがとうございました!